Google Translate
Google Translate

UECで学ぶ

教員紹介

NTT情報コミュニケーション科学基礎研究所連携研究室

宇治土公 雄介 連携准教授

所属:日本電信電話株式会社情報コミュニケーション科学基礎研究所

メールアドレス:yusuke.ujitoko@ntt.com

ウェブサイト

研究目的

人の皮膚に対して、振動や力や熱などの物理的な刺激を与える「触覚提示技術」の研究が現在進められています。例えば、そこには存在しないはずのざらざらした面をなぞる感覚や、硬めのボタンを押した感覚などを現在の技術で人に提示できます。今後、技術の発展に伴い、ペットに触れたときのぬくもりなど、よりリッチな感触を提示できるようになるかもしれません。このような触覚提示技術の応用は、ナビゲーション、遠隔ロボット操作、ゲームなど多岐にわたる場面での活用が期待されています。私はこのような触覚提示技術を実現し、世の中に浸透させていくことを目的として個々の研究を推進しています。

具体的な研究内容

世の中で実際に使われる触覚提示技術を実現していくためには、人の感覚・知覚特性をよく理解したうえで、その特性に適合した技術を検討していくことが重要です。以下にこれまでの私の研究テーマを紹介します。

1.視覚刺激で触感を変調する「疑似触覚技術」

マウスで画面上のポインタを操作しているときに,割込処理でCPU負荷が高まった結果としてポインタの動きに遅延が生じ,重さや摩擦感のような感触を体験したことはありませんか?このように実際には物理的な刺激を与えていないにも関わらず、触感が疑似的に感じられる現象を活用した「疑似触覚技術」を検討しています。特別な機材を必要とせず、視覚刺激のみで疑似的な触覚提示が可能となれば、従来の触覚提示技術と比べて手軽さやコストの面で有利であり、触覚提示が身近になるのではないかと期待しています。参考文献はこちらです〔1〕。

2.人のもつ「触りたさ」(ニーズ)の理解」

何を触る体験を実現すれば、人の日常生活は豊かになるのでしょうか。私の研究では、ソーシャルメディアのテキストデータや大規模なオンライン調査を通じて、人のもつ「触りたさ」を調べています。これを明らかにすることで、触覚提示技術の特にエンタメ分野におけるニーズをつかむことができる可能性があります。参考文献はこちらです〔2〕〔3〕。

教員からのメッセージ

本学では広田光一教授(情報学専攻)と連携して、独自に構築した高密度ピンアレイ提示装置〔4〕を用いた、新しい触覚体験の実現〔5〕や、その際の人の知覚の調査〔6〕を進めています。他の大学・研究機関では扱えない最先端の装置を使うことで、人類の知をいち早く拡張していきたいと考えています。みなさまと一緒に研究を進められることを楽しみにしています。

参考文献
  1. Ujitoko, Y., & Ban, Y. (2021). Survey of pseudo-haptics: Haptic feedback design and application proposals. IEEE Transactions on Haptics, 14(4), 699-711.
  2. Ujitoko, Y., Yokosaka, T., Ban, Y., & Ho, H. N. (2022). Tracking changes in touch desire and touch avoidance before and after the COVID-19 outbreak. Frontiers in Psychology, 13, 1016909.
  3. [Ujitoko, Y., Ban, Y., & Yokosaka, T. (2021). Getting insights from twitter: What people want to touch in daily life. IEEE Transactions on Haptics, 15(1), 142-153.
  4. Ujitoko, Y., Taniguchi, T., Sakurai, S., & Hirota, K. (2020). Development of finger-mounted high-density pin-array haptic display. IEEE Access, 8, 145107-145114.
  5. Ota, Y., Ujitoko, Y., Sakurai, S., Nojima, T., & Hirota, K. (2021). Inside touch: presentation of tactile feeling inside virtual object using finger-mounted pin-array display. IEEE Access, 9, 75150-75157.
  6. Ujitoko, Y., Takenaka, Y., & Hirota, K. (2024). Spatiotemporal motion features resulting from tactile interface layouts influence tactile speed perception. Iscience, 27(9).