このページの先頭です

メニューを飛ばして本文を読む

国立大学法人 電気通信大学

ここから本文です

教員紹介

キオクシア連携研究室

折原 良平 連携教授

研究目的

インターネットやイントラネットの普及により、様々な情報や知識がネットワークを介してやりとりされるようになってきたことに伴い、サイバー空間における人間の振る舞いやそこから引き起こされるサイバー空間内の状態変化もデータとして記録されるケースが増えています。これらのデータを分析することにより、人間の意思決定の仕組みや無意識に持っている選好の様子を明らかにできる可能性があります。本研究室では、人間の活動を起点に発生する様々なデータの分析を可能とするためのツールとして、機械学習技術や自然言語処理技術を深耕し、サイバー空間アクセスを通じて人間をより深く理解することを目指しています。

具体的な研究内容

研究テーマは、学生が主体的に提案し、教員のアドバイスを参考にしつつ決定します。ここでは、過去の研究テーマを2件紹介します。

Twitter炎上分析〔1〕

近年、SNSの発展に伴い、誰もが「炎上」の被害に遭うリスクに直面しています。既に発生した炎上を抽出するには、批判的なコメントが殺到する状況を検知すればよいのですが、それでは炎上を未然に防ぐことができません。本研究では、炎上事例を収集し機械学習させることで、未来の炎上予測を行い、炎上を未然に防ぐことを目標としました。世評に反する主張を発言することが炎上につながるとの仮説に基づき、ある時点でのトピックに関する世評を数値化した特徴量を独自に定義し、収集した炎上事例に対し適用して炎上予測モデルの構築を行ったところ、94%の精度で炎上を予測することができました。

画像ドメイン変換〔2〕

画像ドメイン変換タスクとは、ある画像の意味的情報(例えば顔)を維持したまま、何らかの属性(例えば髪の色)をソースドメイン(例えば黒色)Oからターゲットドメイン(例えば赤色)に変換することで、敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いて、正解ラベル等を必要とせずに、任意の2つの画像ドメインデータセットを用いるだけでドメイン変換が行えるモデルが提案されています。しかし、変換精度は、対象とするデータセットやドメインにより大きく異なります。本研究では、変換の成功・失敗を支配する要因を探るため、ドメイン内の多様性とドメイン間の非類似性を定義し、様々な条件で変換実験を行いました。その結果、多様性が比較的低く、非類似性が比較的高い場合に成功することが多いとの知見が得られました。

教員からのメッセージ

本務ではキオクシア(株)メモリ技術研究所に所属しており、人工知能技術を活用した半導体製造工程の生産性向上に従事しています〔3〕が、同じ技術がマンガ制作支援〔3〕やクイズビジネス支援〔4〕にも使えるのが面白いところです。学生さんの新鮮な視点を活かして、人工知能技術の新たな使い方を発見していきたいと思っています。

参考文献

  • 〔1〕岩崎他: CGMにおける炎上の分析とその応用,人工知能学会論文誌, Vol.30, No.1, 2015.
  • 〔2〕Yamashita et al., Factors Affecting Accuracy in Image Translation Based on Generative Adversarial Network, Proc. of ICAART2018, 2018.
  • 〔3〕Orihara, R.: Applications of AI Technologies in Flash Memory Business, Proc. of 5th IEEE Electron Devices Technology & Manufacturing Conference (EDTM), 2021.
  • 〔4〕折原他: クイズビジネスにおける作問作業支援, 言語処理学会 第28回年次大会, 2022.