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国立大学法人 電気通信大学

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教員紹介

NICT連携研究室

斉藤 嘉彦 連携准教授

研究目的

衛星―地上局間の光通信において、衛星と地上の間には大気が存在し、その存在によって通信光は影響を受けます。大気は密度むらを持っており、宇宙から到来する光は波面の各点で位相差を生じることで方向ずれが生じます。その結果、その光を集光した場合に焦点位置での光が空間的に散らばってしまいます。通信の世界ではファイバー結合効率が不安定になるという形で現れます。この問題を解決するため、地上局側でこの影響を除去するための方法を研究しています。

具体的な研究内容

大気による影響を解決する一つの方法が光の波面を動的に補正する「補償光学系」です。補償光学系では、まず大気によって乱された波面を評価するための「波面センサー」によって波面の各点での波面のずれを計測します。その計測結果から「可変形鏡」と呼ばれる鏡を変形させて乱れた波面を反射させることで波面を整えます。これを波面が変動する速度に合わせて制御することでリアルタイムに理想的な波面に近づけることが可能となります。
この技術は天文学で大口径望遠鏡の性能を活かすために発展し、科学的な成果をおさめている技術ですが、通信光を受信するアンテナも望遠鏡と同じ構造をしているので、同じ技術が応用できます。また通信ではこのアンテナから送信する場合もあるため、独自に送信光の補償を行う技術を研究する必要があります。現在は受信補償光学系技術の実証と送信補償光学系の研究を行っています。

補償光学系の概念図

教員からのメッセージ

私が所属している情報通信研究機構(NICT)の宇宙通信システム研究室では衛星と地上を結ぶ通信をベースにした空間通信技術について様々な研究を行っています。
特に当研究室では光通信における通信光を受信する大型の光アンテナを複数台所有し、それを使った研究を行うことが可能です。現在、このような光アンテナを所有している研究機関は少ないため、自分のアイデアを実証するための実験場としてこれらの設備にアクセスできるということは大変魅力があると思います。空間光通信の研究を考えている方や興味のある方は気軽に相談してください。