2024.09.10
*仮想発電所における需要調整を量子アルゴリズムで定式化
*量子技術を活用して複雑な最適化計算を高速化
*電力需給バランスの安定化と高効率化の同時実現
曽我部東馬教授(i-パワードエネルギー・システム研究センター/基盤理工学専攻)と株式会社グリッド(東証:5582)の共同提案「仮想発電所需給調整におけるリスクヘッジ型量子古典確率最適化手法の開発」(以下:本プロジェクト)が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに採択されました。
本プロジェクトでは、仮想発電所(※1)における電力の需給調整を最適化するため、量子アルゴリズム(量子コンピュータ(※2)の特質を利用した計算方法)を活用します。発電予測、需要予測、電力市場価格といった予測が必要な要素(不確実要素)に対応するには、複雑で膨大な計算が必要になります。このような問題に対処するため、量子技術を用いた革新的な計算手法「量子古典確率最適化(※3)手法」を開発します。これにより、高速かつ高精度な計算が可能になり、安定的で高効率な電力供給をリアルタイムで実現することが期待できます。この取り組みを通じて、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献するとともに、量子技術の新たな基盤を経済や社会に確立することを目指します。
量子・古典ハイブリッド確率最適化手法の模式図
本プロジェクトの初期仮説検証フェーズの実施期間は以下の通りです(ステージゲートを通過した場合、1.5年の本格研究フェーズに進みます)。
• 委託期間:2024年7月〜2025年10月
※1 仮想発電所(Virtual Power Plant: VPP):再生可能エネルギーの電力供給の不安定さを解決するため、住宅やオフィス、工場にある小型発電設備や蓄電池をまとめて一つの発電所のように管理し、電力市場と連携して効率的に電力を供給するシステムです。
※2 量子コンピュータ:量子力学の原理を計算に応用したコンピュータです。0と1の状態を同時に扱える「量子ビット」を使うことで、一度に多くの計算を並列的に行うことができます。
※3 確率最適化:将来の不確実な状況を考慮して最適な解決策を見つける計算手法です。