2025.05.01
坂本真樹教授(情報学専攻)と松倉悠助教(情報学専攻)は、TOTO株式会社との共同研究により、私たちが日々なんとなく感じている「心地よさ」や「違和感」といった「感覚」を、日本語のオノマトペ、「どんどん」「ぷくぷく」「ふわふわ」など、を通じて"見える化"する試みに挑みました。水中に手を浸し、水を振動させることで人がどのような触感を感じるのかを調査し、355種類におよぶオノマトペを分布図として可視化しました。さらに、「快適」「不快」といった主観評価とも照らし合わせることで、オノマトペと感性の対応関係を明らかにしました。本成果は、水回り製品の感性設計や、ウェルビーイングを促進するリラクゼーションサービス、多感覚インタフェースの開発など、多様な分野での応用が期待されます。今後は身体の他部位や音響との統合による多感覚体験の構築にも展開予定です。
1.水中触覚に対する感性表現の「マップ化」に成功
オノマトペ分布図上に、動的/静的、柔らかい/硬い、自然/人工的といった感性軸に沿ってオノマトペが配置されました。(図1)
2.快・不快とオノマトペの位置に対応傾向
「ふわふわ」「しゅわしゅわ」などの分布図上右側領域の語は快適と評価され、「ごわごわ」「じゃりじゃり」などの左側領域は不快と評価される傾向が示されました。(図2)
3.水振動の「周波数・強度」によりオノマトペが変化
水振動が低周波から高周波になるにつれ、感覚が分布図上方に遷移し触感が軽く、爽やかになる傾向があり、強度が強くなるにつれ、感覚が分布図上左方に遷移し、粗く激しい触感になる傾向が確認でき、オノマトペ表現も対応して変化することがわかりました。(図3)
4.感性AIツールとの統合による数値化
既存のオノマトペだけでなく、「ぷくぷく」「ぼこぼこ」など新奇な語も数値で比較・分類可能になり、再現性と客観性のある感性評価が実現しました。
雑誌名:日本感性工学会論文誌 第24巻2号
論文名:オノマトペ分布図を用いた水振動体感の感性評価
執筆者名(所属機関名):桶谷康祐*(TOTO株式会社)、松倉悠(電気通信大学)、東賢輔(TOTO株式会社)、荒木祐介(TOTO株式会社)、坂本真樹**(電気通信大学)*筆頭著者 **責任著者
掲載日時:2025年4月30日(水)
掲載URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjske/24/2/24_TJSKE-D-24-00050/_article/-char/ja/
DOI:https://doi.org/10.5057/jjske.TJSKE-D-24-00050
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