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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
狩野 研究室

運動生理学と生体工学から見た生体ストレスに対する筋組織の適応

所属 大学院情報理工学研究科 共通教育部、先進理工学専攻、脳科学ライフサポート研究センター
メンバー 狩野 豊 教授
所属学会 日本体力医学会,日本体育学会、アメリカスポーツ医学会、アメリカ生理学会
研究室HP http://www.pc.uec.ac.jp/sp/kano/
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掲載情報は2015年8月現在

狩野 豊
Yutaka KANO
キーワード

外的刺激(運動ストレス)、運動器(骨格筋、血管など)、バイオイメージング、スポーツサイエンス

研究概要

バイオイメージングの手法で筋肉内の生体反応をリアルタイムで直接観察

不慣れな激しい運動をすると運動ストレスにより筋肉が疲れたり痛みを感じるが、その時生体内ではどのような現象が起こっているのだろうか?
当研究室では、生体が応答・適応する生体情報・生体調節・可塑性の働きのプロセスの解明を目指し、まず身近な存在ながら解明されていないことが多い筋肉の組織に焦点を絞り、生きている小動物の筋肉細胞の中で実際にどのような事象が起こっているのかを、バイオイメージング(生体情報の視覚化技術)手法を用いて、研究している。
具体的には、当研究室で改良したユニークな運動負荷装置を使って、麻酔下のラットを電気的コントロールにより収縮活動している筋細胞を直接(in vivo:生体内で)観察することである。この手法を用いることによって、ダイナミックな筋細胞の動きを制御する細胞内外のイオン動態や赤血球の流れなどをリアルタイムで評価できる。従来、生体から摘出・採取した組織・細胞をすりつぶしたり、薄い切片にして(in vitro:生体外で)顕微鏡観察する生化学や組織化学が一般的な手法である。
生体内の組織・器官レベルは可視化できるが細胞・分子レベルまでは観察できないMRIの測定手法(ヒトを対象としたバイオイメージング手法の1つである)に比べ、当研究室の手法は生体内の情報を細胞レベルで読み取ることができる、画期的な手法であると言えよう。
さらに、筋肉の運動には、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リン、マグネシウムなどのイオンの関与が分かっているので、将来的にはこれらのイオンの同時計測を試み、総合的に筋肉細胞の営みの秘密・謎を解き明かしたいと考えている。これまで、筋肉の疲労や収縮や筋肉が壊れる原因として、カルシウムイオンがトリガーになって関わっていることは知られていたが、実際にどのような仕組みなのかは解明されていなかった。本研究室の実験により、筋肉の収縮にともなうカルシウムの蓄積動態や流入経路がバイオイメージングにより明らかになりつつある。
このように、当研究室ではバイオイメージングの手法を用いて、形態学(形態的変化)、生化学(物質的変化)、生理学(機能的変化)の3つを統合して、筋肉について研究し、その秘密を解き明かしていきたい。

アドバンテージ

独自のバイオイメージング手法と運動負荷装置

当研究室の強みは、スポーツサイエンスの分野でバイオイメージング手法をリードしていることだ。生きて動く生体の解析・研究には、実際に動いている状態で観察・実験を行うことが最も効率が良く正確なデータが得られる。
しかも、小動物が運動している時の状態を細胞レベルで観察できる施設・設備を持つ研究機関は、当研究室以外にはほとんど見当たらない。これは大きなアドバンテージになっていると言える。
また、ラットなどを用いた運動ストレスによる筋損傷に関する実験には、当研究室で改良した運動負荷装置を使っている。動物実験の難しさは、動物にどのようにして運動の負荷をかけるかということにあるが、この装置は、運動負荷量をコントロールすることができ、その際にどれくらい筋細胞が壊れているかをチェックできるのが大きな強みである。

今後の展開

ヒトでの計測を行い、医療やスポーツサイエンスに役立てたい

実験風景
ラットを使用してのin vivo観察

当研究室では現在はラットの生体で実験しているが、将来はヒトでも実験・観察して、医療やスポーツサイエンスに役立つ研究にしたい。ヒトを対象としたバイオイメージングにより、生体情報をリアルタイムに計測できるようになれば、その臨床データを医療分野にも提供でき、ひいては大きな社会貢献になるだろう。
これらの技術を応用して、スポーツなどの科学的なトレーニングに導入したいと思っている。今までの科学トレーニングといえば、血液を採ってそれを分析するといった手法が中心的であった。これからは生体バイオイメージングなどの知見を応用し、効率良く・説得力があり・納得できるトレーニング方法を構築して提案し、競技的パフォーマンスの分析アプローチにしたいと考えている。

さらに、当研究室では「全国2000万人の糖尿病患者の筋肉の衰え」「若い年代層の体力不足」を解決できないかと考え、将来の日本の国力低下を招きかねない大きな問題も視野に入れている。

実験動物の飼育も重要な課題
蛍光顕微鏡
研究・産学連携