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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
張 研究室

マルチメディア信号処理

所属 大学院情報理工学研究科
情報・通信工学専攻
メンバー 張 煕 教授
所属学会 IEEE、電子情報通信学会
研究室HP http://www.xiz.ice.uec.ac.jp/
印刷用PDF

掲載情報は2015年8月現在

張 煕
Xi ZHANG
キーワード

デジタル信号処理、画像処理、デジタルフィルタ、フィルタバンク、ウェーブレット変換、画像符号化、画像フュージョン、錯視画像解析

研究概要

マルチメディア時代を支える信号画像処理技術

近年、高精細TV、スマートフォンやデジタル家電といった形で、デジタル信号画像処理技術を使った製品が市場に数多く出回っている。2011年からテレビ放送のデジタル化も実施され、2020年東京オリンピックを目指す8Kスーパーハイビジョンの本放送に向けた技術開発も精力的に進められている。デジタル信号処理と画像処理技術は、マルチメディア化が進行する高度情報化社会にとって、ますます必須の技術となっていく。

デジタルフィルタの設計

当研究室では、こうした現代の重要技術であるデジタル信号処理と画像処理に関する研究を多角的に行っている。特に、デジタルフィルタの設計が中心テーマの一つである。デジタルフィルタは、デジタル信号処理の基本手法の一つであり、信号に含まれる有用な情報(周波数成分)の抽出・解析やノイズ除去などの目的で使用される。フィルタにはFIRとIIRフィルタの2種類がある。FIRフィルタは線形位相が容易に実現でき、画像処理によく使用される。IIRフィルタはFIRと同等な実現コストであればよりよい周波数選択性能が得られる。
フィルタは、入出力の伝達関数によりその特性が決定されるので、まず取り出したい情報(周波数成分)のみを通過させる伝達関数を設計し、それを実現する回路を構成することで作り上げられる。フィルタ設計は、フィルタ係数の最適値を求める最適化問題で、その設計アルゴリズムの開発は最も重要である。

ウェーブレットフィルタバンク

最近、音声・画像処理などの分野で、時間と周波数領域での同時解析を可能とするウェーブレット変換が従来のフーリエ変換に代わるものとして広く応用されている。ウェーブレット変換は、フィルタを複数組み込んで使うフィルタバンクより効率的に実装できる。ウェーブレット変換を用いることで周波数とともに時間的な情報も同時に得られ、音声や画像の処理に威力を発揮している。成功例の一つにウェーブレット変換を用いた静止画像圧縮の国際規格JPEG2000があり、デジタルシネマの圧縮規格にもMotion JPEG2000が採用されている。
当研究室でも、ウェーブレットフィルタバンクの新しい設計手法やウェーブレット変換の新しい応用について研究を行っている。現在、最も興味をもっている研究テーマは、高精細静止画像や動画像符号化、画像フュージョン、錯視画像解析等である。

アドバンテージ

フィルタについて充分な設計経験と知識を有し、自由なカスタマイズ要請にも対応可能

オールパスフィルタを用いて構成した直交対称ウェーブレットを静止画像圧縮に応用し、2002年にLSIデザイン賞を受賞するなどの成果を上げている。オールパスフィルタを用いてウェーブレットフィルタバンクを構成するやり方は、当研究室で開発された独自の手法である。これにより、ウェーブレット変換の直交性や対称性等、各種の性質が実現しやすくなり、演算コストが削減できるという利点をもっている。
このように、フィルタ設計についての多くのノウハウと研究実績の積み重ねをもっていることが当研究室の強みである。特にフィルタの最適設計とそのアルゴリズムについては、張の学生時代からの研究テーマであるため、20年以上にわたる理論と設計技術の蓄積がある。それを活かして、使用目的に応じたフィルタの自由なカスタマイズ要請などにも、幅広く応じることができると自負している。

今後の展開

画像処理分野で新たなチャレンジ

これからの画像処理技術の進歩に向けて、新たな画像処理技術を提案できると考えている。
現在、ウェーブレット変換を利用した画像処理技術は画像圧縮国際規格JPEG2000にも採用され、電子透かしなどにも利用されており、今後、画像処理分野での基幹技術になると予想される。
画像圧縮には非可逆(ロシー)符号化と、可逆(ロスレス)符号化がある。ロシー符号化とは、人間の視覚特性を利用し、視覚にあまり影響を及ぼさない情報を削除して圧縮する方法である。高い圧縮率を実現できる一方、情報の一部を削除しているので、元の画像を完全に復元することはできない。これに対し、ロスレス圧縮とは、元の画像を完全に復元できる圧縮法である。
従来広く使われているJPEGやMPEGなどでは、離散コサイン変換が利用され、ロシーかロスレスかは圧縮前に選択する必要がある。また、JPEG2000では、ロシーかロスレスかによって、異なるウェーブレットフィルタバンクが用意されている。
当研究室で開発したオールパスフィルタを用いたウェーブレットフィルタバンクを利用すると、ロシーもロスレスも圧縮でき、JPEG2000より優れた圧縮性能が達成できる。
この直交対称ウェーブレットフィルタバンクを高精細動画像(ビデオ)圧縮にも応用し、高能率3Dウェーブレット動画像圧縮技術を開発して行きたい。
さらに、ウェーブレット変換を用いた多焦点画像合成やHDR画像合成など、より自然な画像を合成できるような画像フュージョン技術、高精細圧縮動画像に生じるフリッカーの除去技術、人間の脳の情報処理メカニズムを究明するための錯視画像解析技術やそれを応用した錯視画像作成などの研究にも励んでいるところである。

ウェーブレット分解・合成
HDR画像合成
研究・産学連携