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お知らせ

Chiao-Yao (Joe) She 博士特別セミナー ~ライダーによる地球大気の観測~

2016年05月20日

2016年5月18日、コロラド州立大名誉教授 Chiao-Yao (Joe) She博士による” Lidar capability for atmospheric temperature and wind measurements and enabled MLT science studies”と題する特別セミナーが電通大で開催されました。

ライダーによる大気計測では、レーザー光を上空へ向けて発射し、大気中の分子・原子に照射します。分子・原子は光を散乱しますので、その散乱光を受信することで散乱体である大気中の分子・原子の情報を得ることができます。
セミナーは、各種の大気散乱過程(レイリー散乱、ミー散乱、ラマン散乱、共鳴蛍光散乱)についての概説からはじまり、散乱スペクトルの考察へと話しが進んでいきました。 博士は、散乱スペクトルが大気の温度と風速の情報を持つことに着目され、これを利用した温度計測、風速計測の手法を考案されました。その後、20年超の研究活動を通して、実際に大気の温度と風速を計測するライダーシステムを開発・製作され、現実大気計測への応用を実現されました。
観測を始めた当初は、散乱光を検出しやすい夜間のみの観測でしたが、狭帯域フィルターを組み合わせることで、太陽光などに由来する光ノイズを除去する方法を開発し、24時間連続の大気観測も実現されました。
最後に、計測データを用いた最新の大気科学研究への展開についてもお話しいただきました。セミナーを通じ、博士と本学教員・学生との間で活発なディスカッションが行われました。

北極でのライダー観測