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国立大学法人 電気通信大学

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イベント情報

Baylor College of Medicine 大前彰吾博士 講演会【2月19日開催】

2024年02月13日

本学では、脳神経科学、情報工学、生体工学、人間工学、ロボット工学、光科学などの幅広い理工系分野に関して日々活発に研究を行い、情報を発信しています。
今回は、Baylor College of MedicineのJavier Medina博士の研究室に在籍し、小脳プルキンエ細胞の複雑スパイクによる情報表現に関して新分野を開拓した大前彰吾博士をお招きし、講演会を開催いたします。

教職員、学生含めご興味のある方は是非ご参加ください。

Ohmae S and Medina JF. Climbing fibers encode a temporal-difference prediction error during cerebellar learning in mice. Nat Neurosci, 18(12):1798-803, 2015.
DOI: (新しいウィンドウが開きます) 10.1038/nn.4167

Baylor College of Medicine 大前彰吾博士 講演会
日時 2024年2月19日(月)14時00分から15時00分
場所 東3号館3階 マルチメディアホール(306号室)
対象者 学内外の研究者および学生、一般の方
参加費 無料
定員 50名(定員先着順)
協賛 脳・医工学研究センター、科研費学術変革A「行動変容生物学」
講演者 大前 彰吾 氏(Baylor College of Medicine 博士)
テーマ 小脳の認知機能を実現するネットワークダイナミクス:小脳内ループ回路が時間処理と言語処理に果たす役割
アブストラクト 言語処理など人間の最も高度な認知機能も、ニューロンのつくる回路とその計算に遡ることができるはずです。大脳新皮質と密接に相互接続する小脳は、さまざまな認知処理で重要な役割を果たしています。小脳の回路構造が全ての機能領域にわたって一様であることから、私は時間情報処理という特定の認知機能の背後にある回路計算を調べ、この計算が他の認知機能にも一般化できるかどうかを調べることにしました。まず、時間処理における小脳回路の学習則を調べたところ、小脳学習はドーパミン系のTemporal difference(TD)予測誤差信号と同様の予測誤差信号によって駆動されることを発見しました。さらに私は、小脳がフィードフォワード回路であるという従来の見方を覆し、小脳内ループ結合が時間処理に不可欠であることを発見しました。これらの生理学的知見に基づき、時間処理に適切なネットワークダイナミクスを学習できる、生物学的知見に基づいた人工ニューラルネットワーク(ANN)を作成しました。さらにこの小脳ANNのループ回路計算の一般性を調べるために、小脳ANNがもうひとつの小脳高次認知機能である言語処理をどのように学習するかを調べました。結果、小脳ANNは、小脳の言語機能として知られる「文中の次の単語の予測」と「構文認識」を獲得することに成功し、単一のループ回路計算が複数の小脳言語機能の基礎となりうることを実証できました。これらの一連の研究は、小脳に関する従来の見解に挑戦し、時間処理と言語処理の両方で必要なネットワークダイナミクスを学習し生み出すループ回路計算の重要性を示しています。
問い合わせ窓口 山崎 匡(情報・ネットワーク工学専攻 准教授)
メールアドレス:yamazaki.tadashi@uec.ac.jp
備考 事前の参加お申し込みは不要です。
当日は直接開催場所へお越しください。